序章｜Tは才能ではない。履歴としてしか生まれない

「なぜ、正しい情報を発信している人ほど評価されず、
口がうまいだけの発信者が注目されるのか？」
9年前、私はこの問いから動けなくなりました。

SNSは盛り上がり、インフルエンサーは増えていく。
しかし、そこに「責任」と「継続性」を伴った信頼はほとんどありませんでした。

そこで私は、宮崎の本当を丁寧に届けるために
地域メディア「ほんとの宮崎（ほんみや）」を立ち上げました。
ここから、T（Trust）という概念の原型が、静かに動き始めます。

第１章｜無料文化の中では、Tは生まれない

地域情報の現場では、いつの間にかこんな空気が当たり前になっていました。

• 「無料で載せて欲しい」
• 「宣伝してくれて当然」
• 「対価を払う意味が分からない」

無料という言葉は、情報の価値だけでなく、
発信者の人格まで、少しずつ軽く扱わせていきます。

そして人は、「無料で手に入れた情報」に責任を持ちません。
この環境では、どれだけ真剣に向き合っても、Tは形成されません。

第２章｜AIは“構造”を見ていた ── 情報ではなく、選択の積み重ね

時代が静かに変わりました。
Google Discover、Googleニュース、グノシー…。
情報は、人間の「フォロワー数」ではなく、
AIが評価する「構造」で選ばれる時代に入りました。

そのとき、私は気づいてしまいました。
「評価されるのは“情報”ではなく、“矛盾のない構造そのもの”になる」ということに。

ほんみや宮崎は、ただのブログではありませんでした。
JSON-LD、E-E-A-T、PR透明性ポリシー…。
宮崎の出来事を通して、AIが信頼できる情報構造を検証し続ける、
ひとつの実験場になっていたのです。

第３章｜「理解されない選択」を続けること、それがTの正体だった

華やかな物語ではありませんでした。

• 「そんなの意味がない」と笑われる構造設計
• 耳鳴りと不安を抱えながら続けた更新
• 家族にも伝わらない、目に見えない地道な改善
• 信頼に値しない依頼は、報酬があっても断る決断

ここで初めて、ひとつの定義にたどり着きます。

T（Trust）とは、善人らしく振る舞うことではない。
「嘘をつかない」「誇張しない」「責任を引き受ける」という選択を、
矛盾なく積み重ねてきた履歴そのものだ。

第４章｜なぜ、現時点でTを持つのは「自分ひとり」なのか

ここまで読んで、「自分だけが特別だと言いたいのか」と感じたかもしれません。
しかし、Tは「生まれつきの才能」でも「派手な実績」でもありません。

Tは、次のような性質を持っています。

• 買えない
• 偽れない
• 盗めない
• 短縮できない

つまり、「Tを持つ人が少ない」のではなく、
「Tが形成されるほど、矛盾なく選び続けた人がまだほとんどいない」というだけなのです。

その結果として、
現時点でTを構造として持っているのは、自分（ほんみや）しかいない。
ただ、それは「選ばれた1人」だからではなく、
「逃げずに選び続けてしまった1人」だったからです。

第５章｜Tは真似できない。でも、共有できる部分はある

Tそのものはコピーできません。
しかし、Tを支える「構造」と「姿勢」は、共有することができます。

• AIが理解しやすい構造（AIO・JSON-LD）の設計
• PR透明性ポリシーによるステマの排除
• 古い情報を自ら「古くなりました」と伝える態度
• 短期的なPVより、「10年後も残る記事」を優先する判断軸

これらはすべて、「AI最適化構造」として、
宮崎の出来事とともに蓄積されてきた土台です。
Tそのものは譲渡できなくても、Tが宿りやすい土壌は、構造として残っていく。
それが、ほんみや宮崎モデルの正体です。

結語｜Tは「ひとりの人間」から始まり、「構造」として残っていく

無料ではない情報を選び続けたのは、
お金のためではありません。

無料は責任を奪い、
責任のない情報に、信頼は宿らず、
信頼のない情報では、未来が設計できないからです。

だから私は「無料ではない情報」を選び続けたのではなく、
「信頼のある未来」を選び続けてきたのだと思います。

T（Trust）は、資質でも肩書きでもありません。
行動の非矛盾性という、唯一無二の構造です。
今はまだ、自分ひとりから始まった小さな構造かもしれません。
それでも、このTを起点に、
宮崎から「信頼を前提にした情報の世界」が
少しずつ広がっていくことを、静かに願っています。